『感覚』は『感覚』に左右される。ニコニコ学会β和田教授の研究!
昨日、ニコニコ学会βというイベントが開催されました。ニコニコ動画で生放送されていました。
実験心理学を専門とする和田有史教授がとても興味深い研究を発表していました。 テーマは「感覚の結合」。
---------
感覚は他の感覚に振り回される
音によって「見る」間隔が左右されることがあります。例えば、ピコピコ音のテンポが早くなると、光の点滅も早くなったように感じます。実際には、光の点滅の間隔は変わっていません。感覚が結合している例です。
味嗅覚も同じように視覚の影響を受けます。白ワインを赤く着色したものを用意して、これを飲んでもらったところ、ほとんどの人が「これは赤ワインだ」と答えました。「食べること」は味覚だけではなく、五感を使っていることが分かります。
感覚と感覚の結合が起こっている
他にも、人差し指と薬指だけを冷やしたところ、中指は何もしていないのに冷たさを感じることがある。そのように、人間は感覚を統合している。 乳児でも食品の匂いと視覚を結びつけることができ、乳児のころから統合を開始している。
人はプリンが揺れている映像を見て、『ああこれは柔らかいんだな』と感じることができる。これも感覚の結合である。「柔らかさ」だけでなく「硬さ」も感じることができる。
鮮度だって判断される
レタスの鮮度が判別できるのはどうでしてだろうか。人は鮮度を「輝度」によって見分けている。「照りの度合い」なので、白黒写真でも鮮度判断が出来る。この輝度ヒストグラムで8割程度鮮度の予測が出来る。魚の鮮度は目の輝度によって見分けている。
記憶色効果
記憶色効果というのがあって、例えば、人にバナナを灰色に調節してもらうと、少し青みがかかった色になってしまう。実際、灰色のバナナでは、黄色みがかかったようにみえる。これを記憶色効果という。灰色のオレンジだと、少し橙色っぽく見える。
よく知っている物ほど、色が反対側にズレる効果がある。
ブランドイメージでも同じく記憶色効果がある。有名であればあるほど灰色に色味がかかっているようにみえる。たとえばコカ・コーラは灰色だと赤く見える。スタバだと灰色は緑っぽく見える。吉野家だと橙色に見える。
これは男性的?女性的?
食品の性的ステレオタイプがある。肉はどちらかと言うと男性的、いちごは女性的。ロゴの色も重要。人が反応できる(パッと分かる)速度が牛丼チェーン店だったら牛丼っぽい色のロゴの方が早く反応できる。
他人の目が購買行動を変えることもある。人から見られている(と思う)ことによってフェアトレードが買われる。
積極的な態度にさせる→付加価値を上げる
自分の態度が「情報理解」と「付加価値」を左右することがある。自分から情報を検索する「積極的態度」と情報を受け取る「受動的態度」では、積極的検索の方が本人の情報理解も付加価値も高くなった。
また、情報を受け取った場合でも、その人に何らかのアクション、例えばクリックさせるアクションを起こさせると、積極的態度により近くなり、その人のなかでの価値が高くなる。
グラフを見せると分かりやすくなるのか
残留農薬値などは事前知識がないと理解できない。私達は、残留農薬に関する知識を使った実験を行った。
その知識を文章にして生徒に見せ、テストすると正答率は5割。グラフを利用すると正答率は上がるかとおもいきや、2〜3割下がってしまった。グラフを利用するのはあまり意味がないというのが分かる。インフォグラフィックのように、グラフに情報を追加して、有効にを使えば正答率は7割程度になる。グラフだけを利用するのはかえって逆効果。
(吉野家他固有名詞は僕が補完しました。)
---------
2ndセッションメンバーが釘付け RT @hanawaysnr: 和田氏「プリンが揺れている映像を見て、『ああこれは柔らかいんだな』と感じることができる。これも感覚の結合である。さらには硬さも同じく感じることができる」 #ニコニコ学会
— HomeiMiyashita (@HomeiMiyashita) 2013, 12月 21
他の登壇者にも人気だったようです。やっぱり面白いですよね、これ。
以上、和田教授の研究20連発でした。